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涼んでいたカラスヘビ

「マーちゃん、チーちゃんを見ててくれてありがとうね。今日はお天気がいいから、みんなのふとんを干そうね。あそこのベビーキャリーを取ってきてくれる?」
「はぁい、これだね。」
「ええ、そうよ。ありがとう、マーちゃん。」
「チーちゃん、お出かけみたいだね。」
「ほんとね。まだちっちゃいから、ふとんを干している間は、ここにねかせておこうね。」
「うん、チーちゃん、お出かけみたいだね。いいねー。おりこうさんにネンネだよー。おふとん、お日さまでほんわかになるからねー。」

チーちゃんに話しかけるマーちゃんを見て、お母さんはにっこりしました。チーちゃんにやさしくしているマーちゃんがとてもうれしいのです。

お母さんがえんがわまでふとんを運んでいます。汗をいっぱい吸い込んだふとんは、ちょっと重くなっています。マーちゃんもマクラを持ってお手伝いです。よいしょ、よいしょ、と持って行きます。庭にみんなのふとんが並びました。お日さまも元気いっぱいなので、今夜は特別ふんわりとしたふとんで眠れそうです。

チーちゃんが眠ったので顔をのぞきこんでいると、お母さんが、大きな声で叫びました。何だろうと思ってえんがわの方を見ると、おどろいたままじっとしています。

「お母さん、どうしたの。なに?」
「ああ、おどろいた。えん側のサッシのわくに、ヘビがピッタリはまりこんでいてね。それにペタッとさわっちゃった。でも、ヘビもびっくりしたのね。テラスにボトッと落ちて逃げて行っちゃった。」
「ヘビ!お母さん。ヘビにさわっちゃったの?こわいね。」
「うん。ほんとね。ああ、こわかった。真っ黒だったから、きっと、カラスヘビね。あんまり暑いから、ヘビも、日かげで涼しくしたかったのね。」

お母さんは、庭をふり返りながら、マーちゃんとチーちゃんのそばに来ました。
「おばあちゃんが言ってたことがあるの。ずうっと昔からのお話なんだって。赤ちゃんが生まれた家は、おっぱいのにおいがいっぱいするから、おいしそうなエサがあると思って、ヘビが寄ってきて、赤ちゃんを食べてしまう、ってね。」
「食べられなくても、かまれるかもしれないから、少し用心しなくちゃね。」

ヘビと聞いてびっくりしたマーちゃんですが、その話を聞いて、もっとびっくりしました。チーちゃんがヘビにかまれるのはとってもいやです。
チーちゃんは痛いからいっぱいなくだろうな。チーちゃんがかわいそうだから、ぼくも泣いてしまうだろうな。お母さんとお父さんも、お姉ちゃんとお兄ちゃんも、おじいちゃんとおばあちゃんも、みんな泣いてしまうよ、きっと。

でも、お母さんはそんなにこわくないみたいです。それなら安心です。だって、お父さんがいない時は、お母さんはとっても強いもの。ぼくがケガをして泣いた時、泣かないで薬をつけてくれたんだ。病気になった時も、病院へ連れて行ってくれたよ。
それから、お父さんも、帰ってきた時に、だいじょうぶかって言って、頭をなでてくれたんだ。そうしたら、すぐに治っちゃったときもあったなぁ。

マーちゃんは、夜、ふかふかのふとんの中で、ヘビのことを思い出しました。
ちょっとこわいけど、ぼくはお兄ちゃんなんだから、お父さんやお母さんがいない時は、絶対に強くなって、チーちゃんを守るんだ。


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