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まほうの夜

ここは、草のジャングルの根元にある、アリの巣の中です。巣穴からどんどん、どんどん深く入っていくと、少しずつ、アリの数がふえてきました。
もっと深く入っていくと、とっても大きな広場がありました。そこでは、たくさんのアリたちが忙しそうに働いています。
そう、今夜はお祭りなんです。きっと、ごちそうがいっぱいですよ。

何のって?たくさんエサが見つかったから、その祝いのお祭りなんです。
ありたちの顔を見てごらんなさい。エサがいっぱいあるから、うれしくてたまらないって顔をしていますよ。
何でそんなにいっぱいあるんだって?それはね、アリ達のなかまのエイミーがイチゴとさとうをたくさん見つけてきたので、エサが食べきれないくらいあるからなんですよ。もちろん、倉庫にもどんどん入れてたくわえています。

赤ちゃんアリたちはお腹いっぱい食べて、気持ち良さそうに眠っています。お母さんの女王アリも、そんな赤ちゃん達を見て、とてもうれしそうです。アリ達も楽しそうに働きながら、陽気に笑い合っています。

さあ、エサを運んでくるアリの数も、段々少なくなってきました。巣の外では、夕焼けが空一面に広がってきました。もうすぐ日が暮れます。アリ達は、みな、日が暮れる前に少しでも多くエサを運んでおこうと、せっせと働いています。今日最後の行列が遠くに見えています。

今年は何て運が良いのかしら。エイミーは心の中で祈ります。
どうぞ、今年の冬はみんなで冬を越せますように。今年は、寒い冬の間に、赤ちゃん達が何匹も、眠ったまま目を開けなくなりませんように。春になったら、みんな元気で目を覚ましますように。

さあ、そろそろパーティーが始まる時間です。広場には、できあがったごちそうが、いっぱいに並べられていることでしょう。早く巣の中の広場に行ってみましょう。

まあまあ、もう、すっかり用意ができているみたいですね。ちょっとだけ、そーっと、つまみ食いしてみようかしら。
え?アリじゃなきゃ、アリのエサはおいしくないって?でも、エイミーの甘ーいイチゴと砂糖があるから、分かりませんよ。

なあに、わたしがだれかって?まじょですって?!いーえ!本の読みすぎよ。そりゃあ、ここにいてもおかしくないし、だれにも見えていないけど。だから、天使!うそだ?そう。う、そ、よ。可愛いようせいに決まってるでしょ。・・・何よ、その顔は。
さあさあ、おしゃべりばっかりしてないで、パーティーよ。ごちそう、ごちそう!おや!まあ!何て素敵なんでしょう。まだまだたくさんのごちそうが運ばれてきますよ。やっぱり、だめかしら。とってもおいしそうに見えるのに。

あっ、エイミーがいますよ。今日のヒロインなんですから、エイミーのそばがいいでしょう。エイミーのそばにいれば、きっと楽しめますよ。

あっ、女王様のごあいさつよ。さあ、頭を下げてごあいさつ。
なぜって?わたしの姿は、女王様には見えるんですもの。何で見えるのかって?そりゃあ、・・・女王様だからですよ。なっとくできない?いいんですよ。納得なんか、そこいらのゴミ箱に捨てちゃいなさい。

・・・なんて言ってるけど、わたしだって分からないんですよ。どうしてかしらね。きっと、女王様は良い女王であるように、いつも一生けんめい周りを見ていらっしゃるのね。
良いことも悪いことも、ちゃんと見ていないと、何も分からないまま、知らないままだったら、全部が何もなかったように見えてしまうもの。色んなものをちゃんと見ることができないと、女王にはなれないのかしらね。それに、それができるから女王様になれたのよ、きっと。

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