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漢字混じりの童話ひとりでよめるひらがなのどうわ
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まほうの夜

あー!おいしい。だれ?きっとおいしくなんかない、って言ったのは。
このミツは何で作ったのかしら。あとでレシピをもらっちゃお!え、やめた方がいい?何で作ってるかしれたもんじゃない?うーん、とってもおいしいのに!変なもので作ってるんじゃあないと思うんだけどねえ。
食べた後なら聞いてもあとの祭りよ。カマ一つカマ一つ。オーホホホ。

あ、ほら、女王様がエイミーを呼んでいらっしゃるわ。きっと、たくさんほめてもらえるのよ。それだけのことをしたんだもの。たくさんほめてもらえたら、また一生けんめい働こう、って思えるものね。

え?そう思わない?ねえ、ちゃんとほめてもらったことある?ちゃーんとほめてもらうとね、不思議に、ちゃーんと働こう、って気になるものなんだから。ちゃあんと覚えておくのよ。それとね、どんなにがんばっても、ほめてくれない人はいるんだから、ちゃーんとほめてくれそうな人に見てもらうのよ。わかった?
わかったら、たーんとめしあがれ。ぜーんぜん、食べてないじゃないの。は、はーん。何で作ったのかわからないからこわいんでしょ。人間って、もう!そうねぇ、えーっと。あ、これこれ。これならだいじょうぶよ。花のミツと花びらでできてるから。おいしい?そーでしょ。

ああ、お腹がいっぱいで、いい気分。

あ、ほら、ダンスが始まりましたよ。もうちょっとわたしが若ければ、いっしょにおどるんだけどねえ。まあ、みんな、何て楽しそうにおどるのかしらね。ホント、楽しい笑顔が一番ね。
よくこんなにしゃべっていられるものだって?でも、面白い夜が過ごせたでしょう?草のかげで暗い夜が明けるのをさびしく待ってる方が良かったっていうの?ちがう?そうでしょ、そうでしょ。

あ、そうそう。夜が明け始めたら、ちゃあんとベッドまで送ってあげるわね。安心した?心配しないでいいのよ。心だけでここに来る人間は、心がまだ大人になれてないんだもの。良心ってものを持ってるなら、助けるのは当たり前ですよ。
そして、助けたなら、ちゃんと助かるのを確かめなきゃ、助けたとは言えないじゃないの。いい加減な助け方で苦しめることになったら、わたしが余計にイジメてるのと同じことだもの。ちがう?ちがわないって?そうでしょ、そうでしょ。
それどころか、ずうっと長く、苦しい苦しいって思っていると、心や体が病気になったり、もう助からないんだとあきらめてしまって、死のうと思ったりするのよ。

何でわかるんだって?ここは色んな世界の間にある世界なの。長く苦しい目にあっていると、この世界に迷い込んでしまうのよ。そんな人間が何人もここに来たんですよ。
人間には考える力があるからめんどうよねえ、まったく。何でもかんでも、強いだけで押しのけるんじゃ、そこいらの動物と同じですよ、ホントに。悪知恵しか使わなかったら、そのうち考える力が退化するのじゃないかしらねえ。悪知恵を見ぬいてやり込める人間がたくさんいると、人間社会はもっとましになるのにねえ。

悪いことをしたくなくて苦しむのは、すてきな人間だからよ。自分に自信をお持ちなさい。せっかく助けるんだから、すてきなままで素敵な大人になるんですよ。
それはそうと、さあさあ、ごちそうをいっぱい食べて元気におなりなさい。わたしがまほうをかけたから、このごちそうが食べられるのよ。オーホホホ。まほうのごちそうには生きる力がいっぱいですよ。不思議なまほうのごちそうを、たんとめしあがれ。

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