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お母さんの海

「そうねえ。暖かくなって、海にもぐれるくらいの季節になるとね、おじいちゃんが、ふくろになったアミを持って、海にもぐりに行くの。『絶対に岩のところで遊ばないで砂浜で待ってるんだぞ』って、わたしたちに約束させてね。
おじいちゃんはずーっと遠くまで泳いで行ってしまったの。頭が見えなくなると、おじいちゃんってすっごーいって思ったよ。
でも、ずっと、ずっと時間がたっても、おじいちゃんがもどって来なくてね。おぼれないよね、危なくないよね、って、すっごく心配したよ。だから、遊ぶのなんかすっかり忘れて、二人でじっと海を見てたの。そうしたら、いきなり近くの水の中からおじいちゃんが出てきてね、びっくりしたなあ。
それにね、おじいちゃんが持って行ったときは空っぽだったアミに、いっぱい、何か入っていたの。何だと思う?マーちゃんが知ってる物よ。めったに見ないけどね。」

「う〜ん、魚!」
「おしい!」
「じゃあ、貝!」
「近い!」
「え〜!魚でも貝でもなくって、貝に近いの?」
「そうそう!」
「めったに見ない貝に近いもの?あ!トゲトゲのサザエ!」
「ピンポ〜ン!それに、アワビもね。」
「わお!おじいちゃんとこの海にはサザエがいるの?」

「お母さんとお父さんがが子供のころはいたよ。今はいないだろうね。みんながいっぱい取っちゃったからね。」
「ふ〜ん、今はいないのか。ぼくも見たかったな。それで、そのサザエ、家に持って帰ってみんなで食べたの?」
「ううん、おじいちゃんがね、砂はまに石を積み重ねて火をおこして、カナアミの上で焼いてくれたの。アツアツなのをフーフーふきながら食べたの。アワビもサザエも、とってもおいしくって、楽しかったなあ。」
「うわ〜!いいな〜。うらやましいな〜。何で全部取っちゃったんだろう。」
「本当ね。でも、こんなに取れなくなるなんて、分からなかったのよ。ずっと昔から取ってたから、いなくなるなんて、みんな考えなかったの。それに、人がどんどんいっぱい増えて、水をいっぱい使って、きたない水が海まで流れて、海がよごれたのもいけなかったのね。」

「それじゃあ、みんなが食べるのを少しでがまんして、海をよごさなかったら、また取れるようになる?」
「そうね、みんなで一生けんめいきれいにしたら、また取れるようになるかもしれないね。」

「ぼく、こんどおじいちゃんのお家に行ったら、はまに落ちてるゴミを拾いに行ってもいい?そうしたら少しきれいになるよ。」
「そうね、お母さんもいっしょに拾おうね。海が喜ぶかな。」
「うん、喜ぶよね、きっと。お兄ちゃんやお姉ちゃんも行かないかなあ。お友達もいっぱい。」

「そうね、みんなでゴミを拾ったら、海の水が少しずつきれいになるよね。」
「うん、ぼく、アワビとサザエの夢を見たいな。アワビとサザエの赤ちゃんが、いっぱいいる夢がいいな。お休みなさい。」
「まあ、すごいね。見られるといいね。お休み。」

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