漢字混じりの童話|ひとりでよめるひらがなのどうわ |
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![]() 右側はずうっとがけが続きます。道は並んで歩けないくらい細くなりました。坂も転がり落ちそうなくらいになって、おじいちゃんが手をつないでくれなかったら、こわくて歩けそうにありません。それでも、マーちゃんはがん張って歩いています。
マーちゃんが、登るのをやめたくなるくらいこわくなった時、赤い花がちらりと見えました。ツバキの花です。道を登るたびに、見える花の数が増えてきます。マーちゃんはちょっと元気になりました。
![]() しばらくすると、さあ、やっと着きました。どこを見ても、赤い花がほこらしげにさいています。
「ほら、マーちゃん。きれいだろう。毎年、春になるとさくからね。きっと、来年も見に来られるよ。」
「ほんと?じゃあ、また連れて来てね。こんなにたくさんさいてるよ。とってもきれいだねぇ。」
こんなにいっぱいの花が、みんな本物だなんて、信じられません。マーちゃんは目を丸くして見ています。
「すごいだろう、マーちゃん。次から次にさくから、しばらくはとてもきれいだぞ。」
「すごいねぇ。とってもきれいだねぇ。畑の野菜みたいに並んでいるから、ツバキ畑だね。」
![]() 「あっはっは、そうだねぇ。昔は、このツバキのタネからツバキ油を採っていたんだから、ツバキ畑だな。」
「タネから油が採れるの?」
「ああ、種を集めてつぶしてしぼるんだよ。ツバキ油はとてもにおいがするから、今はあまり使わなくなってしまったなあ。料理にも、おけしょうにも、頭のかみにもつけていたんだがなあ。」
「くさいのに使ったの?くさくてもいやじゃなかったの?」
「そうだなぁ。昔はほかになかったからな。しかたがなかったんだ。今でも使っている人はいるが、くさくないのが色々あるから、使わない人が多いなぁ。」
おじいちゃんは、そう言って、ちょっと何か考えています。
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「そうだ。せっかく来たんだから、ここに来られた時だけ、特別にできることを教えてやろう。こっちに来てごらん。」
おじいちゃんは、ツバキの花をそっと取って、ミツの吸い方を教えてくれました。花を取って、ガクの方を口に当てて、チュウッと吸うと、口の中に甘いミツが広がります。マーちゃんの頭の中に、妹のチーちゃんのオシャブリが浮かびました。ツバキは、おいしくてきれいな、花のオシャブリみたいです。
「あはは。チーちゃんのオシャブリみたいだね、おじいちゃん。ぼくもおじいちゃんも赤ちゃんみたいだ。」
マーちゃんは、夢中になって、次から次にいくつも吸いました。花のミツがこんなにおいしいなんて、全然知りませんでした。マーちゃんは、ツバキってすごいなあ、と思いました。
きれいだし、役に立つし、ミツはこんなにおいしいんだ。
![]() ![]() おじいちゃんの家に帰ってきても、マーちゃんはまだうれしくてたまりません。おばあちゃんも、お父さんも、お母さんも、にこにこしながら、マーちゃんの話を聞いています。
夜、おじいちゃんちのふとんの中で、マーちゃんが考えています。
おじいちゃんはいいなあ。ここに住んでて。明日も、どこかに連れて行ってくれないかなぁ。
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