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漢字混じりの童話ひとりでよめるひらがなのどうわ
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黒いとうの上

いいにおい。とってもおいしそう。においをたどって、テーブルの下までやってきたのは、アリのエイミーです。マーちゃんの家の庭の花だんの隅にある草の根元に巣があります。マーちゃんの家の庭はエイミーの生きている世界でもあるのです。
家族がたくさんいるので、元気なエイミーは毎日えさを探しに出かけます。いつもは、マーちゃんの家の花だんや畑の中でエサを探しています。エイミーたちアリには大切なエサ場なのです。
今日は、おいしそうなにおいにつられて、めったに出ないエサ場から出てきてしまいました。

この上みたい。すっごく高い塔だなぁ。でも、がんばらなくっちゃ。
エイミーはテーブルの足を登り始めました。どんどん、どんどん、休まずに。

いったい、どれだけ登ったのでしょう。
でも、においは、上に見える、黒い大きな屋根の上からしてきます。やっと、屋根の上に着きました。白い大きな物があって、においはその上からしてきます。
エイミーはため息をつきました。
それでも、白いかべを登って、白い天井から落ちないように、用心しながらはしまで行くと、ふちをはい登りました。

夢を見ているようです。見えたのは、真っ白なさとうと真っ赤なイチゴだけです。

エイミーは近づいて一口食べてみました。
なんておいしいのかしら。早くみんなに教えよう。
エイミーは持って帰る分を、口にくわえました。さっき登ってきた道を、エサをくわえて降りて行きます。うれしくて、元気いっぱいで、塔の下に着きました。エイミーは、塔を見上げました。塔は、空まで届いているように見えます。それでも、こんなごちそうがあれば、みんなは喜んでやってくるでしょう。

早く巣に帰ろうと急いでいると、ピートに会いました。
「やあ、エイミー。すごいごちそうを見つけたね。ぼくも手伝おうか。」
「ありがとう、ピート。もう、山のようにあるの!みんなを呼びに行くところよ。」
「ぼくは今から行くよ。どこにあるの。」
「ずっと向こうに見える、黒くてとっても高い塔の上よ。」
「ずいぶん遠くまで行ったんだね。おつかれさま。」
「ありがとう。でも、良かった!」

いいお天気。こんなおいしいエサも見つかったし、なんていい日かしら。エイミーは、にこにこしながら急ぎます。今度はシーザーに会いました。
「やあ、エイミー。すごいね。」
「うふふ。そうでしょう。もう、うれしくって。急いで帰るところよ。」
「あはは。みんな大喜びだな。たくさんある?ぼくも運ぼうか?」
「山ほどあるわ!ずっと向こうに見える、黒くてとっても高い塔の上よ。ピートが先に行ってるわ。」
「そうか。あっ、向こうからディーが来るから、いっしょに行くことにするよ。」
「そう?ディー、こっちに来てーっ。」

エイミーは、二人に手を振ると、巣に向かって急ぎました。
やっと、茂った草の根元に、巣が見えてきました。巣の近くにいたアリたちが、エイミーの持っているエサに気づいてやってきます。

「ねえ、これが山のようにあるのよ!早く行きましょう。」
「いい匂い!とってもおいしそう。」
「やったね!エイミー。」
ぞろぞろ、ぞろぞろ、エイミーのあとに、黒い行列ができました。巣穴から次々に出てきます。いったいどれくらい続くのでしょう。

先頭のエイミーが、エサを運んで来るピートたちに気づきました。ピートたちも気づいて、手を振っています。エイミーたちも手を振って近寄ります。
「ねっ、たくさんあったでしょう!」
「ああ、すっごいよ!みんなで運んでも、とても1回じゃ運びきれないよ。」
みんなが、ワァッと声を上げて喜びました。

「さあ、早く行きましょう。」
「少し食べてもいいかな。」
「いいさ。元気が出るよ。」
アリたちは、楽しそうに話しながら歩いて行きます。

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