社会は、人は平等であり差別はいけないと声高に言う。しかし、イジメっ子は、気にくわない、気にいらない、程度の理由で他人を自殺にまで追いやり、不当に人権を無視している。なのになぜ、イジメっ子が庇われるのか。

『そんなことも切り抜けられないようでは社会では生きていけませんよ。』（学校は強制淘汰の場なのか？）『こんな世の中なんだから、強くならなくちゃ。』『子供がいじめられて泣いて帰ってきても、殴り返してこい、くらいは言わなきゃ。』『親に言えばよかったのに。』『学校に言えばよかったのに。』『警察に行けばよかったのに。』しかし、学校は建前だけ、言葉だけでしかない。警察は殺されなければ動いてくれない。そんな世の中を変えようともせず支持しているのは誰なのか？

中学の入学式で、すべての子供を非行少年のように言い、親を非行少年の親のように決めつけ、親に自分の子供を信じないように、常に疑いの目で見るように要求するのが、一部の学校だけとは思えない。教育は統一されているのだから。それが、子供を絶望させ、親子の断絶を深刻にしたとは思わないのだろうか。その絶望がイジメに向かったとしても不思議はない。

幼児は、守られ愛されていると信じている幼児ほど、安心して親から離れて遊ぶようになる。それは、自立の力に応じて、せめて巣立ちのときまで続く安心でなければならない。わざわざ児童憲章にうたわれるまでもなく、子供は無条件に慈しまれ守られるべき存在なのだから。

現代では、無差別殺人犯の人権さえ主張され認められている。イジメのそれは、殺さなければ殺されていたというような正当防衛ですらない。ならば、他人の未来を地獄に突き落とす行為が保護されるべきではない。子供は全部が非行少年のようなものだからどちらを庇っても変わりはない、そんな気持ちが裏にないだろうかと思うと寒気がする。

イジメはケンカなんかじゃない。誰がしようと未来を潰すイジメは明らかな差別だ。親は生活を支えるのに必死で、子供の恐怖がわからない。判ろうとしない親も多いが、それもまた、親を無能とする学校の姿勢が影響してはいないだろうか。

一度イジメだすと、まだ生きてるから、まだイジメられる、『まだ生きてるじゃない』と、イジメ続ける。そして、自殺するか殺すかすると、『こんな世の中…』という追い討ちをかける。かくして、イジメっ子は堂々と大人になり、子供の親になる。そして、『こんな世の中…』と平気で言う。が、イジメられっ子は大人になれても、何の《力》も持てず何も言えない・・・。

《力》は、たくさんのお金であったり、人や会社や国を動かす権力だったりするが、イジメられた人が、お金や権力を持つ可能性は殆どない。学校に行かずに閉じこもるまで、あるいは死ぬまで、イジメは続く。やっと大人になっても、大人社会にもイビリというイジメがあり、お金も権力もない人たちは、あっという間に、仕事も家も失ってしまう。だから、同じ弱者の味方をしたくてもできない。

たった一人を、何人もでよってたかってイジメて、自殺させたり殺したりする。それを黙認あるいは隠そうとする風潮は、モラルの低さを世界中に宣伝しているようなものだ。（だから、日本は世界のリーダーには不適格として認められず、台頭できないのではないか。その政治家を選んだ国民も同様に見られていることだろう。）

イジメは犯罪にならない。イジメが原因で学校に行けなくなっても、家から出るのが怖くなっても、布団から起きあがれなくなっても、たとえ自殺しても、犯罪にはならない。だから、人はイジメる。大人も子供も。殺すよりも長く続けられ、犯罪にならないから。刃物を使わずに《切り裂きジャック》の興奮を得たいがために、的にした人の精神を、イジメて殺してしまう。